ワルイオトコ


俺がシャワーから戻ると、武我はパソコンの前に座って何かを見ていた。
「なに?」
濡れた髪をガシガシと拭きながら後ろから近付き、俺は画面を肩越しに覗き込んだ。
「ぶっ…。な、何見てんだ?おまえ…」
腕を組んで真剣に画面を見つめていたから、俺はまさか武我がこんなものを見てるなんて思いもしなかった。だから、少々度肝を抜かれちまった訳だ。
「あー…、ちょっとな…」
ゲイのDVDサンプルの無料動画らしかったが、画面の中では男同士が激しく絡み合っている。それから目を離さずに武我は答えた。
「ちょっとって何だよ?そんなの見るなって」
ついさっきまで、自分も武我とあんなことをしていたのかと思うと、気恥ずかしくて堪らなかった俺は、すぐに画面から目を離した。
すると、向きを変えた俺の後ろで武我が呟いた。
「しっかし、キモいよなぁ」
「え…?」
その、心から出たらしい言葉に俺はドキッとして動きを止めた。

キモい?
じゃ、俺たちは…?

「キモいってか、グロい?」
そう言いながら武我は、くるりと椅子ごと回って振り返り俺を見上げた。
「あ…、ああ……」
俺は何て答えていいのか分からず、曖昧に頷いた。
すると、その手を武我がサッと掴んだ。
「なに…?」
俺が訊くと、武我は俺の手を引きながら顎を杓った。
「来いよ」
言われて、俺は武我の膝の上に跨った。
2人分の重みが加わり、ギシリと椅子のスチール部分が軋む。パンツだけしか穿いていない俺の腰を武我が両手で掴んだ。
「不思議だよなぁ…」
しみじみとした声でそう呟き、武我は俺を見上げて笑った。
「全然、男だし、おまえ…」
「は…?」
訳が分からず俺が眉を寄せると、武我の手が俺の両脇を撫でながら胸まで上ってきた。
「なのに、このぺったんこの乳がさ、何でこんなに可愛く見えんだろ?」
「んっ…」
クリッと乳首を摘まれて、俺は思わず声を漏らすとビクッと身体を震わせた。
「ほれ、声もやべぇぐらいにエロいしよ」
ニヤニヤしながら見上げられて、俺は恥ずかしくなった。
「あ、アホ…ッ」
真っ赤になって目を逸らすと、武我は俺の腰を掴んでグッと自分の方へ引き寄せた。
「分かるか?勃ってんの・・・・・」
硬くなった股間を押し付けられ、俺は益々頬に血を上らせた。
「他の男でも、ちょっとは感じんのかと思ったけど、やっぱ駄目だわ…」
「武我…」
そんなコト言われたら嬉しくて堪んねえって。
俺がうるうるした目で見つめると、武我は目を細めて俺を見上げた。
「なぁ、挿れてえ…。中、洗ってきちまった?」
「あ、当たり前だろ。俺、今、シャワー浴びて…」
さっきまで、散々ベッドの上でじゃれ合って、トロトロになった身体をやっとシャワーで冷ましたばかりなのだ。
その俺の身体を、武我の手が撫で始めた。
片手は腰から胸を。そして、もう一方の手はパンツの上から俺のナニの形をなぞっていく。
俺は堪らなくなって武我の両肩を掴んだ。
「ん……」
甘ったるい声が俺の口から漏れる。
しなだれかかるようにして掴まると、武我は俺の耳元に囁いた。
「湿ってきたぜ、晶…。なあ、このまま挿れて腰振ってイカして…?」
「んッ…」
こんな言葉に、ゾクッときちまう。
このままじゃ俺、際限なく淫乱になりそうだ。

顔を上げると、武我のキスが待っていた。

そして俺は、そのキスに喘ぎながら、もう絶対にこの男に逆らえない自分を感じていた。