ワルイアソビ
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武我に家に来いと言われたが、帰りに買い物に付き合えと言っていた美野里にまんまと掴まって、俺は行きたくも無い街へ出る事になった。
美野里に、買い物は明日にするように言うことも出来たが、武我の顔を見るのも今はなんだか気が重い。
行けばきっと、また”アヤシイ遊び”が始まるような気がした。
俺にとっては、武我に触れることも触れられることも喜びだ。けど、武我にとっては、他人に決して言えない、ただの悪い遊びなんだ。
そして、それをさせているのは、多分俺。 だから武我は、俺に腹を立てているんだろう。
「ねえ、晶くん、どっちがいい?ねえー」
腕を揺すられて、俺はハッと我に返ると美野里を見下ろした。
その手には、熊と犬のマスコットが握られていた。
「あ?ああ、熊?」
「そう?じゃ、熊にするー。待ってて?」
「おう」
気の無い返事をし、俺はごちゃごちゃと小物の並んだ店を出ると、外の壁に寄り掛かった。
武我の事を無視して、このまま美野里とホテルへでも時化こもうかと思った。
でも、結局俺は武我の方を選んだ。
例え、どんな目に合わされても、また侮蔑するような言葉を浴びせられたとしても、俺は武我が好きだ。
武我が俺を待ってるなら、俺は行かなくちゃならない。
店を出て来た美野里に帰るからと言うと、案の定、ちょっと膨れた。
「えー?もう?お茶ぐらいしようよぉ」
「悪り。なんかちょっと頭が痛くてよ。また、改めて付き合うし、今日は帰らねえ?」
「え?ほんと?なら、早く言ってよ。ごめんね?連れ回しちゃって」
忽ち心配そうな顔になった美野里を見ると少し胸が痛んだ。
こっちから好きだと言ったことはねえけど、告られて付き合う事を承知したのは俺だし。それなのに、彼氏の振りして、最初から俺はおまえを裏切ってるんだ。
出会ってからこっち、俺が見ているのはいつだって武我だけだった。
ごめんな?美野里。俺って、マジ、最低だよな。
「いや、大したことねえんだけどさ。やっぱ、調子上がらねえから」
「分かった。じゃ、今日は帰ろ」
納得した美野里と一緒に駅へ向かい、ホームで別れると、俺はいつも下りる駅を通り越し、武我の家のある駅まで行った。
武我に会うのは少し怖いような気がした。
だが、それでいて俺の中には明らかな期待があったのも確かだった。
ドキドキと胸を高鳴らせ、俺は武我の家のチャイムを押した。
「遅かったじゃねえ」
そう言って俺を迎えた無我だったが、怒っている様子はなかった。
「ちょっと、用があったから…」
「ふうん」
頷いた後で、武我は顎を杓って入るように合図した。
付いて中へ入り、そのまま2階の武我の部屋に上がる。 いつも通りの変わらない部屋なのに、なんだか今日初めて来たような気がした。
「もしかして、美野里チャンと仲直りデートだった?悪かったな」
大して悪いと思っている風でもなく武我はそう言うと、ベッドへ腰を下ろした。
「いや…、いいけどよ」
所在無くそこへ立ったまま、俺はそう答えた。
「どうした?座れよ」
「あ、うん…」
コートを脱いで鞄と一緒に部屋の隅へ置くと、俺は武我の隣へ行って腰を下ろした。
「なに、怖がってんの?」
クスクスと笑いながら、武我がそう言った。
「べ、別に…。怖がってなんかねえけど…」
「そっか?なんか、震えてるみてえ。寒い?」
「いや…」
俺が首を振ると、武我の手が制服の上着に掛かった。
「じゃ、脱げば?ほら、下も…」
「ちょっ…」
ベルトを外されそうになり、俺は慌てて武我の手を押さえた。
「し、下に、誰か居るんじゃねえの?ヤバいって…」
母親も仕事をしている俺の家と違って、武我の母親は専業主婦だった。それに、中学生の妹もいる。
「平気だって。鍵閉めたし、晩飯に呼びに来るまで俺の部屋には誰も来たりしねえよ。晶だって、知ってんだろ?」
そりゃ、何度も遊びに来て、飯まで食ってったことのある家だったから、分かってはいる。けど、もしもってことだって、無いとは言えない。
「け、けど…」
俺がまだ躊躇って身体を引くと、武我がグッと襟元を掴んだ。
「大丈夫だって」
苛々とした口調でそう言うと、俺の身体から上着を剥ぎ取った。そして、そのままベルトに手が掛かる。
「ちょっ…、待てよ、武我。俺…」
「なんだよ?」
「お、俺、そういうつもりで来たんじゃねえしッ」
俺の言葉を聞いて、武我の眉間にグッと皺が寄った。
「はぁ?今更、何言ってんの?おまえ」
「お、俺らっ、そ、そんなんじゃ、なかったじゃ…ねえ…」
最初の勢いは武我の目を見ている内に何処かへ行ってしまった。尻窄みに言葉を言い終え、俺は武我の手をベルトから退かそうとした。
すると、グッと力を入れて、武我は俺のベルトを掴んだ。
「そんなんて、どんなん?」
皮肉めいた口調に、俺はまた弱気になった。
「き、昨日のことはさ、悪かったって言ったろ?俺、どうかして…」
「もう、したくねえ訳?」
「え?」
俺が顔を上げると、武我は片手で俺の顎を掴んだ。
「昼間も言ったろ?ごめんとか、悪かったとかよ、そんなんどうでもいいんだよ」
「武我…」
「こんなヤバイ事教えてくれちゃってよ。どうせおまえ、今までもどっかの男とこういう遊びしてたんだろ?今更もったいぶる事ねえじゃねえ?」
「ちっ…」
俺が驚いて否定しようとすると、その前に武我が口を歪めて言った。
「じゃなきゃ、幾ら友達だって、男のチンコなんかしゃぶれるかよ」
それは、武我の事が好きだからだ。
思わずそう言いそうになって、俺は口を噤んだ。
今の武我に、こんな台詞を言ったって信じてくれる訳がねえ。
武我はすっかり俺の事を、前とは違う目で見てるんだ。
「ほら、脱ぎな?弄らせろよ」
もう、抵抗しなかった。
こんな風に思われるなんて、すげえツレえ。
けど、招いたのは俺自身だし、それでも武我と関わっていたいと思ったのも俺なんだ。
そして俺は、ここへ来る途中で確かに期待もしてた。
また武我に触れてもらえるかも。もしかしたら、またチューしてくれるかも知れないとかさ。
こんな俺の浅ましさが、きっと俺と武我の関係をすっかり変えちまったんだろう。
ズボンを剥ぎ取られて、臍とパンツのゴムの間に武我の指が入った。
グイッとそこを引っ張られて、心だけじゃねえ、浅ましい俺のチンコはすっかり勃起した状態で武我の目に晒された。
「クッ…。さっきのはポーズか?すっかりその気じゃねえ、晶…」
笑われて、顔に血が上る。
けど、指の甲でツルッと撫でられて、すぐに息までが上がった。
「パンツ、脱げば?またおツユで濡れちゃうぜ?」
乾いた唇を舐め、俺は言われた通りにパンツを脱いだ。
今日は真正面に座った武我に、顔も身体も全部見られながらその全部を火照らせる。
目の縁が熱くて、視界がぼやけた。
「マジ、ヤらしいな、晶。そんな誘うポーズしてよ」
「ちが…」
後ろに手を突いて脚を開いた俺を見て、武我はまた笑った。
けど、わざとやってる訳じゃない。 支えてないとぶっ倒れそうなだけだ。
武我の手が伸びて、俺の股間で立ち上がってる物を掴む。
そして、俺の顔をじっと見ながら扱き始めた。
「んくッ…」
顔を背け、俺は声を堪えた。
すると、武我のもう一方の手が器用にシャツのボタンを外した。そして、指が合わせ目を割って入りこんだ。
「ふ…、乳首もビンビン…」
「んぁっ…、あっ…」
クリッと転がされて、俺は思わず声を上げた。
「いいね…。声、もっと出せよ、晶…」
言われて俺は唇を噛むと首を振った。
昨日みたいに、あられもなく声を上げちゃ拙いだろ。
昨日は武我に可愛いなんて言われた所為で箍が外れた。けど、俺のそんな醜態が、きっと武我をおかしくさせたんだろう。
でも、そんな俺のやせ我慢を見て武我はまた笑った。
「いいけど。我慢してる姿も結構そそるし…」
言いながら、武我の指は、自分でさえも信じられないほど敏感になってる乳首とチンコを両方甚振った。
「ほら、ここ…、好きだろ?」
カリの部分を2本の指で挟んで揉みながら、もう1本の指が尿道を擦る。
俺は、とうとう我慢出来なくなって唇を開いた。
「あんぁ…っ……はぁぁ…」
「いいぜ。もっと啼いて見せな」
低い声で囁き、武我は俺を甚振り続ける。
滴りが流れて、尻の割れ目まで濡らしているのが分かった。
「うふっ…いくぅ……、もうイクッ…武我ぁッ…」
叫ぶと同時、俺は武我の手を汚して身体を震わせた。
「ん…」
力が抜けて、支えていた腕がガクリと折れた。そのままベッドの上に横たわると、武我の手が俺の太腿を押して片脚を持ち上げた。
「なあ、晶…。おまえ、もしかして、こっちも使ってンの?」
滴りで濡れてたアナルに、更にぬるりとした感触が加わった。
俺がビクッとして顔を上げると、俺のザーメンで濡れた指で武我がそこを擦っていた。
「んなっ…、止めろよ、武我っ」
「いいだろ?教えろよ。ここに、チンコ挿れさしてんのかって」
「んなん、してねえよっ。弄るなってっ。やめッ…」
太腿を押さえていた武我の手が、ギュッと肉に食い込んだ。
俺が思わず動きを止めると、指の先がヌルッとアナルの中へ入り込んで来た。
「あっ…やっ…」
俺は慌てて起き上がると、思わず武我のシャツを両手で掴んだ。
「やっぱ、使ってんだろ?晶…。ほら、どんどん俺の指、飲んでくぜ?」
「んくぅぅ…。やめぇ…っ」
「感じてんだ?晶。指入れたら、また勃ってきたぜ?」
耳元で囁きながら、武我は緩々と指を動かした。
本当はオナる時、俺はここに指を入れた事がある。
武我のを挿れられてるのを想像しながら、確かに俺は自分でここを弄っていた。
ギュッと、まるでしがみ付くようにして武我に掴まり、俺はゾクゾクと背筋を這い登ってくる快感に声を上げた。
(やべえッ…、気持ちいいッ…)
自分でした時より、ずっとずっと感じる。
いつの間にか、武我の指は2本に増えて俺の中を動き回っていた。
「んぁっ…、んぁぁ…っ……あっ…あんんっ」
零れる声を止められず、俺は喘いだ。
「すげ…、晶…、エロ過ぎ…」
武我の声が耳元で低く囁くのも堪らなかった。
「ひゃうっ」
今までに無い衝撃のような感覚が走り、俺はビクッと震えた。
「ここ?」
言いながら、またその部分を武我の指が擦る。
「はぁ…うっ」
一気に射精感が押し寄せ、俺はブルッと身を震わせた。
ぺロッと武我が舌を出すのが分かった。
そして、そこをゆっくりと撫でながら、もう一方の手で俺のチンコを握った。
「ふぁぁ……んッ、いくぅぅぅ……」
情け無い声を出し、俺はまた武我に縋った。
そしてそのまま、俺はチンコの先からザーメンを吐き出した。